たし算・ひき算の筆算のつまずき ― 「23+4」で位がずれる理由

23+4を筆算で書かせると、4を十の位の下に書いてしまい、答えが63になる。1年生でくり上がりのあるたし算ができるようになった子が、2年生の筆算で新しく出会うつまずきです。

筆算という書き方は、位をそろえて書けば、大きな数の計算を1桁ずつの計算に置きかえられるという仕組みでできています。位がそろっていなければ、この仕組みはそもそも働きません。調べてみると、解説は筆算を理解できるようになる節目を、くり上がりの考え方が明確になったときに置いていました。それを知ってから、私はプリントをくり上がりなし・1回・2回と段階を分けた並びにしました。

つまずきの原因:位をそろえて書く意味が伝わっていない

文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編には、2年生で身につける内容として「2位数の加法及びその逆の減法の計算が,1位数などについての基本的な計算を基にしてできることを理解し,それらの計算が確実にできること。また,それらの筆算の仕方について理解すること。」と書かれています(第2学年 A 数と計算)。

同じ解説は、筆算という書き方そのものの仕組みも説明しています。「このように各位の計算を,位を揃えてかけば,2位数の計算が各位の数の計算に帰着され,1位数の加法及びその逆の減法などの計算で処理できることになる。これを形式的に処理しやすくしたものが筆算形式である。」。位をそろえて書くのは見た目の作法ではなく、大きい数の計算を1桁ずつの計算に分解するための仕組みそのものです。

2けた+1けたの筆算で、1けたの数を十の位の下に書いてしまうのは、この「位をそろえる」意味が伝わっていないサインです。23+4が63になっていたら、この型を疑ってください。

くり上がりの「1」が消える

くり上がりが2回続く筆算では、小さく書いた1を次の位でたし忘れ、答えが10だけ小さくなる誤りが残ります。同じ解説には「繰り上がりの考え方が明確になったとき,通常行われている筆算を理解することができるようになっていく。」とあります。くり上がりの意味が分かっていないと、書いた1を次の計算の対象として扱えません。3けたの筆算に進むと、十の位が0のときに百の位から借りる二段階のくり下がりが必要になります。そこで手が止まる誤りも増えます。

家庭での教え方

手順1:マス目のあるノートで位をそろえる

筆算専用の用紙やマス目ノートを使い、一の位、十の位を縦にそろえて書く練習から始めます。罫線だけのノートでは位がずれやすくなります。ずれた状態のまま計算を続けると、正しい書き方を確認する機会そのものがなくなります。

手順2:くり上がりの「1」を書く場所を決める

くり上がりの1を、計算する位のどこに書くか(上に小さく書く、脇に書くなど)を毎回同じ場所に決めます。書く場所が定まっていないと、次の位の計算に進んだときに見落とされます。

手順3:くり下がりは「借りる」を声に出す

ひき算で上の位から借りるときは「十の位から1借りて、13から7」のように声に出しながら書きます。声に出す作業が、頭の中だけで処理していた手順を目に見える形に変えます。

避けたいこと

筆算のまちがいを見つけたら、答えだけを直させるのではなく、位がそろっているかを先に確認してください。量をこなせば自然に正確になるわけではありません。位のずれ方やくり上がりの見落とし方をそのまま覚えてしまい、まちがえたやり方だけが定着してしまう子もいます。1問ずつ、どこでずれたかを一緒に確かめる時間のほうが効きます。

練習の進め方

  1. 2けたのたし算は、くり上がりなしから2回まで、ひっ算・計算・あなあき・ぶんしょうだいの形で同じ手順をくり返せる並びになっています
  2. 3けたのたし算・ひき算で、けた数が増えても位をそろえる考え方は変わらないことを確かめます
  3. 3年生になるとたし算の筆算ひき算の筆算で3けた・4けたに広がります。2年生のうちに位をそろえる習慣がついていれば、けた数が増えても手順は同じです

けた数が増えても、くり上がりの回数で段階を分けるという考え方は変わりません。3年生のプリントもこの並びを引き継いでいます。

答えのページで丸つけをして、位のずれとくり上がりの見落とし、どちらの型かを確かめてから、まちがえた問題だけをやり直してください。

よくある質問

Q. 暗算でできるのに、筆算で書かせる必要はありますか?

A. あります。筆算は数が大きくなったときのための書き方で、2年生で身につける位をそろえる手順は、この先の3けた・4けたのたし算やひき算、さらにはかけ算やわり算の筆算でも同じ考え方が使われます。今のうちに書き方をそろえておくと、あとで戸惑いません。

Q. くり上がりの数字を書かず、頭の中で足しているようです

A. 頭の中で正しく処理できているなら、無理に書かせる必要はありません。ただし間違いが増えてきたら、一度書く手順に戻してみてください。見える形に書くことは、まちがいを自分で見つける手がかりにもなりますし、けた数が増えて暗算では追いつかなくなったときの備えにもなります。

位がそろっているかどうかは、答えを見ればすぐに分かります。焦らず、1桁ずつ確かめる時間を取ってあげてください。


この記事は、diglabo を作っている親が書いています。教育の専門家ではありません。教え方の一般的な部分は、日本の教科書や学習指導要領で確かめたうえで書いています。

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