小数の位取りのつまずき ― 「0.7+0.5=0.12」を防ぐ

「0.7+0.5=0.12」。このまちがいを見たことがある方は多いはずです。小数点の左右を、別々の整数として足してしまう。

私は最初、これはうっかりミスだと思っていました。調べてみると、まったく違いました。小数のまちがいは、ほぼすべて位取り——十進の仕組みが小数点の右側にも続いていること——の理解不足に行き着きます。

つまずきの原因

原因1:0.1が「数」ではなく「記号」になっている

文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編は、小数の特徴をこう説明しています。整数は「ある単位の大きさが10集まると次の単位となって表される仕組み」だが、小数は「逆に、ある単位(1)の大きさを10等分して新たな単位(0.1)をつくり、その単位の幾つ分かで大きさを表している」(第3学年 A 数と計算)。

つまり0.1は、「1が10個で10」と同じ仕組みを、反対向きに1段だけ伸ばしたものです。この構造が入っていないと、0.7+0.5は「7+5=12だから0.12」という文字の操作になります。

原因2:「×10で0を付ける」という誤った規則

整数では「×10は右に0を1つ付ける」で通用してしまいます。この規則を小数に持ち込むと「2.5×10=2.50」になります。正しくは**×10で位が1つ上がる**。整数のときから「0を付ける」ではなく「位が上がる」と教えておくと、この崩れは起きません。

原因3:筆算で末尾をそろえてしまう

たし算の筆算で「2.5+0.34」を右端そろえで書いてしまう。整数の筆算は右端そろえだったので、これも自然な転移です。小数の筆算は小数点の位置をそろえる(=同じ位どうしをそろえる)が原則です。

家庭での教え方

手順1:1Lますと1dLで0.1を「見る」

3年生の小数は「1Lを10等分した1つ分が0.1L」から始まります。計量カップで実際に注ぎ、「0.1Lが10個で1L」を目で確認します。小数のたんいの単元は、この量の感覚と表記をつなぐ位置にあります。

手順2:位の表に置いてから計算する

「一の位・小数第一位・小数第二位」の表を書き、2.5と0.34をそれぞれの位に置いてから足します。筆算の「小数点をそろえる」は、この表の省略形だと分かれば、規則の暗記ではなくなります。

手順3:数直線に置いてみる

解説は「小数を数直線の上に表して、整数と同じ数直線の中に位置付けることは、小数の理解を深める上で大切」とし、3.6を例に「整数の3と4の間にあること、さらに3と4の間を10等分した目盛りの6番目にあること」を挙げています。紙に直線を1本引いて、3と4の間を10等分するだけで確認できます。

手順4:×10・÷10は「位の引っ越し」と言う

「2.5×10は、2が十の位に、5が一の位に引っ越すから25」。0を付ける・小数点を動かすという操作の言葉より、「全部の数字が1つ上の位に動く」という言い方の方が、小数×整数(4年生)や小数×小数(5年生)まで一貫して使えます。

練習の進め方

  1. 3年生の小数で、0.1のいくつ分・数直線・同分母的なたし算ひき算を固めます
  2. 4年生の小数のたし算・ひき算は筆算が主役です。まちがえたら「位の表に置き直す」に戻ります。小数のかけ算・わり算(×÷整数)では「位の引っ越し」が効きます
  3. 5年生の小数のかけ算小数のわり算では小数点の位置決めが最大の山です。「2.5×1.3の答えは2.5より大きい?小さい?」のような見積もりを先に言う練習が、位置ミスの検出器になります

よくある質問

Q. 「0.5と0.50は同じ」がピンと来ていないようです

A. 位の表に置くと、0.50は「小数第二位に0がある」だけで量は同じと分かります。ただし測定の文脈(0.50Lと書く理由)は別の話なので、3・4年生では「同じ大きさ」とだけ押さえれば十分です。

Q. お金で教えてもいいですか?

A. 0.1を10円(100円の10分の1)にたとえるのは位取りの直感に合っていて有効です。ただしお金には小数第三位が無いので、かさ(L・dL・mL)や長さ(m・cm・mm)の実物とも並行させると、より深く根づきます。


小数のまちがいは、見た目が派手なぶん心配になりますが、原因は1つに集まっています。位の表を1枚書けるようになれば、いくつものまちがいが同時に消えます。


この記事は、diglabo を作っている親が書いています。教育の専門家ではありません。教え方の一般的な部分は、日本の教科書や学習指導要領で確かめたうえで書いています。

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