長さ・かさの単位の覚え方 ― 換算より先に「量の感覚」を作る
「1L=10dL、1L=1000mL」。表としては覚えたのに、「3L2dLは何dL?」になると手が止まる。
私は最初、これは覚え方が足りないのだと思って、換算の問題を増やそうとしました。調べてみて、順番が逆だと分かりました。学習指導要領の解説が求めているのは、換算の反復ではなく「量の大きさについての感覚」を豊かにすることでした。
単位の単元は、2年生の長さ・かさから3年生の重さまで続く、地味に長いつまずきポイントです。
つまずきの原因
原因1:単位に「実感」が無い
1dLと聞いて何かの量が思い浮かぶ大人は少ないはずです。子どもも同じで、実感の無い単位は記号の暗記になり、すぐに剥がれます。特にdL(デシリットル)は日常でほぼ使われないため、学校で習う単位の中で最も実感を作りにくいものです。
文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編にも、「様々な具体物について大きさを調べたり、確かめたりする活動を積極的に取り入れて、量の大きさについての感覚を豊かにするよう配慮する」とあります(C 測定)。また学校では、直接くらべる → 何かを仲立ちにしてくらべる → 手近なものを単位にして測る → 共通の単位(cm や L)で測る、という順で進めることになっています。共通の単位はいちばん最後です。
原因2:換算が「10倍」と「100倍」と「1000倍」で混在している
cm→mmは10倍、m→cmは100倍、km→mは1000倍、L→dLは10倍、L→mLは1000倍。倍率がバラバラなので、「単位の換算は全部10倍」のような誤った一般化をすると崩れます。
原因3:「3L2dL」のような複合表記
2つの単位が混ざった量を1つの単位に直す操作は、位取りの理解(10のまとまり)と単位換算の両方を同時に使います。どちらかが弱いとここで露呈します。
家庭での教え方
手順1:基準になる「マイ単位」を1つずつ作る
- 1cm=子どもの指の幅(だいたい)
- 1m=両手を広げた長さ(低学年ならやや足りない程度)
- 1L=牛乳パック1本
- 1dL=計量カップの半分(100mL)
- 1kg=水の入った1Lペットボトル
「この量が1○○」という基準を体に1つずつ入れます。料理の計量カップは最高の教材です。麦茶を1dLずつコップに注いで「1Lで何杯になるか」を実験すれば、1L=10dLは暗記ではなく体験になります。
手順2:換算表は「となりに行くと×10」の地図として書く
mm→cm→(×10の階段)、m、kmの関係を1本の階段の絵にして、「となりに1段動くと0が1つ増える/減る」と視覚化します。mとcmの間だけ2段(×100)あることも、絵にすれば「特別な場所」として覚えられます。
手順3:複合表記は「お金」にたとえる
「3L2dL」が難しい子も、「320円は100円玉3枚と10円玉2枚」は分かります。単位の複合表記は位取りと同じ構造なので、お金への言い換えが橋になります。
練習の進め方
- 2年生は長さ(cm・mm・m)とかさ(L・dL・mL)から。実物で量ってから解くと定着が違います
- 1年生のながさくらべ・かさくらべは単位を使わない比較の単元です。ここが曖昧なら戻るのが早道です
- 3年生では長さ(km・まきじゃく)、重さ(kg・g・t)、小数のたんいと単位が増えます。新しい単位が出るたびに「マイ単位」を1つ作る、を繰り返してください
よくある質問
Q. 単位換算の問題を大量にやらせれば覚えますか?
A. 実感のないまま量をこなすと、「×10か×100か×1000かをあてずっぽうで選ぶ」練習になりがちです。プリント1枚の前に「1Lってどれくらい?」と聞いて、牛乳パックが出てくるかを確認する方が先です。
Q. dLなんて日常で使わないのに、なぜ習うのでしょうか
A. 10ずつのまとまりで単位が変わる(十進構造)を体験する教材として使われています。「使わないから適当でいい」ではなく「位取りの練習台」と捉えると、後の小数(3年生の小数は0.1L=1dLから始まります)に直結する意味が見えてきます。
この単元は、台所とメジャーがあれば家でいちばん進められる場所です。プリントが進まない日は、量ってみるだけでも前に進んでいます。
この記事は、diglabo を作っている親が書いています。教育の専門家ではありません。教え方の一般的な部分は、日本の教科書や学習指導要領で確かめたうえで書いています。
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