「向きが違うと三角形じゃない」と言われたら ― 図形の性質の見分け方
紙に描かれた三角形が、とがった先を上ではなく横に向けているだけで、お子さんが「これは三角形じゃない」と言うことがあります。教科書で見慣れた向きから少しでもずれると、形そのものより見た目の印象で判断してしまうためです。
教材を作るとき、図形の名前は絵とセットで覚えればいいと思っていました。ところが学習指導要領の解説を確かめると、辺の数や辺の長さといった「図形を構成する要素」に目を向けさせることが大切だと分かりました。向きや大きさの印象で覚えさせるものではないと知りました。
つまずきの原因:形の名前を「見た目の印象」で判断してしまう
2年生:直線の数と角に気づけていない
2年生では、まず直線の数で三角形と四角形を区別します。文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編には「第2学年では,3本の直線で囲まれている形を三角形といい,4本の直線で囲まれている形を四角形ということを約束する」とあります(第2学年 B 図形)。角がとがっていれば三角形と考えてしまいます。線がつながっていない形や曲線を含む形まで選んでしまう誤りも出やすいところです。正方形・長方形・直角三角形についても、解説は「正方形,長方形,直角三角形の意味やその特徴を形式的に指導するのではなく,辺の長さや直角といった図形を構成する要素に着目して児童がこれらの図形について理解を深めていくことが大切である」と述べています。名前を先に暗記させるのではなく、辺の長さや直角という手がかりに気づかせる順番です。
3年生:二等辺三角形と正三角形が定着しない
3年生では、辺の長さに注目した分類が加わります。解説には「二つの辺の長さが等しい三角形を二等辺三角形といい,三つの辺の長さが等しい三角形を正三角形という」とあります(第3学年 B 図形)。「第3学年ではこれらの図形を中心に,直角二等辺三角形にも触れる」ともあり、直角二等辺三角形も二等辺三角形の仲間として学びます。辺の長さを目分量で判断すると、この2つを取りちがえやすいところです。解説は「定規やコンパスによる作図,ひご等による構成,紙を折るなどの活動を豊かに行うことを通して」学ぶことをすすめています。名前を先に暗記させるより、辺を測ったり作ったりする経験を挟むほうが、この学年でも定着します。
4年生:台形・平行四辺形・ひし形の境界があいまい
4年生では、辺の平行という新しい見方が加わります。解説には「向かい合った二組の辺が平行な四角形を平行四辺形といい,四つの辺の長さが等しい四角形をひし形といい,向かい合った一組の辺が平行な四角形を台形という」とあります(第4学年 B 図形)。辺の長さが等しいかどうかだけで見分けようとすると、平行四辺形とひし形を取り違えます。正方形は辺の長さも平行の条件も満たすため、ひし形の仲間でもあります。これを外れた答えとして扱ってしまう例もよく出ます。四角形の性質は対角線にも広がります。長方形は対角線の長さが等しく、ひし形は対角線が垂直に交わるという、それぞれ別の性質を学びます。名前の分類と対角線の性質は、別々に頭に入りがちです。テストの場面では、この2つが入れかわりやすくなります。この対角線の違いは、調べてみるまで私も名前の分類とひとまとめに覚えていました。
家庭での教え方
手順1:直線の数を指でなぞって数える
角の印象で判断する前に、辺を1本ずつ指でなぞって「1、2、3」と数える動作をはさみます。2年生のうちにこの動作を習慣にしておくと、4年生で四角形の種類が増えても、まず辺を数える姿勢が土台として残ります。
手順2:辺の長さをものさしで測って比べる
平行四辺形とひし形の違いは、見た目では判断しづらいものです。4つの辺をものさしで測り、長さが全部同じならひし形、向かい合う2組がそれぞれ平行なだけなら平行四辺形、と手を動かして確かめさせます。
手順3:紙を回しても名前が変わらないことを体験させる
解説は第4学年の平行四辺形・ひし形・台形について「図形の置き方をいろいろと変えても,その図形の名称が判断できるようにする」ことをねらいに挙げています(第4学年 B 図形)。同じ紙の四角形をくるくる回し、「向きが変わっても名前は同じ」と声に出して確認する練習は、このねらいをそのままなぞるものです。三角形でも同じようにできます。
避けたいこと
形の名前と絵をセットにしたカードを、意味を確かめないまま暗記させるのは避けたいところです。名前が結び付いても、辺や角の性質が抜け落ちたままだと、4年生の分類でつまずきます。
練習の進め方
2年生の三角形と四角形は、三角形・四角形を見分けるところから、正方形・長方形・直角三角形を見つける段階、まわりの長さを求める段階へと進みます。3年生の三角形は、二等辺三角形と正三角形を見つける2段階で、辺の長さに注目する練習に絞られています。4年生の垂直・平行と四角形は、垂直と平行な直線を見つける段階から、台形・平行四辺形・ひし形を記号で選ぶ段階、対角線の性質へと続きます。4年生の内容でつまずいたときは、2年生や3年生の単元に戻ると、遠回りに見えて早く進みます。学年の間には他の単元がいくつも挟まるため、久しぶりに図形を扱うという意識で、最初の数問はゆっくり見てあげてください。
よくある質問
Q. 4年生で図形の分類に詰まったら、2年生の単元まで戻る必要がありますか?
A. 辺の数を見分けること自体があいまいなら戻る価値があります。逆に、三角形・四角形の区別はできていて、平行や辺の長さの条件だけで詰まっている場合は別です。4年生の単元の中で辺をものさしで測る練習を増やすほうが早く解決します。
Q. 正方形はひし形なのか長方形なのか、まぎらわしいです
A. 正方形は、長方形の条件(角が全部直角)とひし形の条件(辺の長さが全部同じ)を両方満たしています。どちらか一方に決めるのではなく、両方の仲間だと説明すると、条件で図形を見る見方につながります。
図形の名前は、丸暗記すると学年が上がるたびに崩れます。辺の数や長さという手がかりへ何度でも立ち返れるようにしておけば、2年生・3年生の内容が、そのまま4年生の分類の土台になります。
この記事は、diglabo を作っている親が書いています。教育の専門家ではありません。教え方の一般的な部分は、日本の教科書や学習指導要領で確かめたうえで書いています。
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