分数の導入でつまずく理由 ― 「2つに分けたから2分の1」ではない

「分数が分からない」という話は5年生・6年生でよく聞きます。ただ、つまずきの種は3年生の導入期にまかれていることがほとんどです。

私は最初、分数は5年生の通分・約分が山場なのだと思っていました。調べてみると、山場の手前にもっと静かな落とし穴がありました。導入期の分数は計算がほとんど無いため、つまずいても点数に出ないのです。

つまずきの原因

原因1:「等しく分ける」が抜け落ちる

「ピザを2つに切ったら、1切れは2分の1」。この言い方には大事な条件が抜けています。

文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編は、2分の1を「二つに等分した大きさの一つ分」という意味だと説明しています(第2学年 A 数と計算)。等しく分けたときだけが2分の1です。適当に切った大小の2切れも「2分の1」と呼んでしまう誤解は、導入期に非常によく起きます。

原因2:「何の」2分の1かが揺れる

「1mのテープの2分の1」は50cm。「2mのテープの2分の1」は1m。分数はもとにする量とセットで初めて量が決まります。ここが曖昧なまま進むと、5年生の割合(「何の何倍か」)で同じつまずきが再発します。

原因3:「分母が大きいほど大きい」という直感

「3分の1と5分の1、どっちが大きい?」で5分の1を選ぶ子は多くいます。整数の世界では「5は3より大きい」が常に正しかったので、自然な誤りです。分ける数が増えるほど1切れは小さくなるという逆向きの関係は、絵や実物で何度も確認する必要があります。

家庭での教え方

手順1:折り紙で「等しく」を体験する

折り紙を半分に折る。開いて「ぴったり重なるから、これが2分の1」。次にわざとずらして折り、「これは2分の1と言える?」と聞きます。「等しく分ける」が条件だと、操作の中で気づかせます。4分の1、8分の1も折るだけで作れます。

手順2:「何の」を必ず口に出す

「このピザの4分の1」「1mの3分の1」。分数を言うときに、もとにする量を必ず添える習慣を、教える側が持つことです。子どもの「4分の1!」には「何の?」と聞き返します。

手順3:大小くらべは「同じ折り紙」で

同じ大きさの折り紙を2枚使い、片方を3等分、片方を5等分に折って1切れずつ比べます。「たくさんに分けるほど、1切れは小さい」を目で確認します。数直線に置くのはその後です。

3年生のうちは計算を急がない

3年生の分数は「同じ分母のたし算・ひき算」までです。それより大事なのが、解説が第3学年の内容として挙げている「分数が単位分数の幾つ分かで表すことができる」という見方です。「5分の3は、5分の1が3つ分」。この言い換えができるかどうかが、4年生以降のすべての土台になります。

練習の進め方

  1. 3年生の分数は、図と対応させる問題から同分母の計算まで段階的に並んでいます。図の問題を「簡単だから」と飛ばさないのがコツです
  2. 4年生の分数では帯分数・仮分数が入ります。「5分の7は、5分の1が7つ分」と単位分数で言い換えられるかが定着の目安です
  3. 5年生では分数の性質(約分・通分)から異分母のたし算へ進みます。ここでつまずいた場合も、戻る先はたいてい3年生の「単位分数の見方」です

よくある質問

Q. 通分でつまずいています。何を復習すべきですか?

A. 通分の手続きの前に、「2分の1と4分の2が同じ大きさ」を図で納得しているか(分数の性質)、そして約数と倍数が使えるかの2点です。通分のまちがいの多くは、この2つのどちらかに穴があります。

Q. 小数と分数、どちらを先に固めるべきですか?

A. カリキュラム上は並行して進みます。「0.1と10分の1が同じ」という接続(3年生の小数で登場)を家庭でも一度は話題にしてください。この橋がかかっていると、5年生以降で数の世界が1つにつながります。


3年生の分数は、テストの点数では様子が分かりにくい単元です。折り紙を何度か折るだけで確かめられるので、点数が良いときこそ一度聞いてみてください。


この記事は、diglabo を作っている親が書いています。教育の専門家ではありません。教え方の一般的な部分は、日本の教科書や学習指導要領で確かめたうえで書いています。

diglabo のプリントは日本のカリキュラムに沿って作り、5つの言語で公開しています。くわしくはこちら