わり算の筆算の教え方 ― 「たてる・かける・ひく・おろす」の直し方
わり算の筆算を見て、「たてる・かける・ひく・おろす」をどこで説明すればいいか、迷ったことはありませんか。
わり算の筆算でつまずく子の多くは、九九ではありません。たてる・かける・ひく・おろすという4つの動作があります。毎回、そのどれか1つをどこかで飛ばしているだけです。
わり算の筆算は「たてる・かける・ひく・おろす」の繰り返し
文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編には、4年生で身につける内容として「除数が1位数や2位数で被除数が2位数や3位数の場合の計算が,基本的な計算を基にしてできることを理解すること。また,その筆算の仕方について理解すること。」と書かれています(第4学年 A 数と計算)。
この筆算は「たてる→かける→ひく→おろす」という4つの動作の繰り返しでできています。1の位まで、この4つを1セットとして進めるのが手順です。同じ解説には「第4学年では,整数の除法の筆算での計算の仕方について指導し,多数桁の除法が基本的な計算を基にしてできることを理解させる」とあります。けた数が増えても、このセットをくり返すだけで対応できます。
パターン1:「おろす」を飛ばす
百の位を計算したあと、十の位の数をおろさずに次の計算に進んでしまうと、商のけたが1つ足りなくなります。618÷3の答えが26のように小さく出ていたら、この型を疑ってください。
パターン2:商の0を書き忘れる
商の途中の位で0が立つ場面があります。たとえば十の位で0が立つのに、その0を書かずに次の位へ進んでしまうと、以降の位がすべてずれます。
パターン3:仮の商の見積もりがずれる(2けたでわるとき)
2けたでわるわり算に進むと、商の見当をつける作業が増えます。1けたでわるときは九九の逆引きで商がほぼ決まります。2けたでわるときは正確な答えではなく「だいたいこのくらい」という見積もりから入るため、同じ手順のつもりでも手が止まりやすくなります。仮の商を大きく見積もりすぎると、ひくところで数が足りなくなり手が止まります。逆に小さすぎると、あまりがわる数以上になります。書き上げた答えを見れば、その場で分かります。
家庭での教え方
手順1:4つの動作を声に出しながら1桁ずつ
「たてる、かける、ひく、おろす」を声に出しながら、1つの位が終わるまで次に進まないようにします。動作の名前を声にすることで、どこまで進んだか自分で確認できます。
手順2:商の見積もりをかけ算で確かめる(2けたでわるとき)
仮の商を立てたら、書く前にわる数にかけて、ひける数かどうかを確かめます。「7を立てたら7×24は?ひける?」と1問ずつ声をかけると、大きすぎる見積もりに自分で気づけるようになります。
手順3:検算の式で見直す
同じ解説には「(被除数)=(除数)×(商)+(余り)」という式が示されています。答えが出たら、わる数×商+あまりを計算し、もとの数に戻るかを確かめる習慣をつけます。おろし忘れや0の書き忘れがあると、この式は元の数に戻りません。答えが合わないこと自体が、どこかで動作を1つ飛ばしたという合図になります。
避けたいこと
まちがえた筆算を見て、最初から全部やり直させないでください。4つの動作のどこで止まったかを1か所ずつ確かめれば、直す場所は1つだけのことがほとんどです。全部を反復させても、直っていない動作だけがそのまま繰り返されます。
わり算の筆算のつまずきは九九の弱さがすべてだと、私は思っていました。調べてみると、九九の弱さだけが原因ではありませんでした。止まっている場所は、九九ではなく4つの動作のどれか1つでした。
練習の進め方
- わり算(÷1けた)の筆算は、2けた÷1けたから3けた÷1けたへ、あまりなしとあまりありの両方を筆算と計算で練習します
- 2けたでわるわり算に進むと、商の見積もりが中心になります。手順2の確かめ方をここで使います
- 商の見立てに使う九九の逆引きがまだ不安定なら、3年生の記事「あまりのあるわり算でつまずく理由」を先に確認してください。筆算の習得が早くなります。あちらは「あまりはわる数より小さい」という考え方の記事で、この記事はその考え方を筆算の中でどう使うかを扱っています
よくある質問
Q. 商の見積もりに時間がかかり、テストで終わりません
A. 見積もりが遅い原因は、たいてい九九(6から9・1のだん)の逆引き(「6の段で40を超えない一番大きい九九は?」)が遅いことにあります。筆算の練習量を増やす前に、逆引きだけを1日5問、口頭で練習すると効果が早く出ます。逆引きが2秒以内でできるようになると、商を立てる動作そのものが速くなります。筆算全体の時間も短くなります。
Q. 検算は毎回させたほうがいいですか?
A. 慣れないうちは毎回がおすすめです。ただし検算そのものが負担になって筆算が嫌いになるようなら、まちがえた問題だけに絞ってください。目的は答え合わせではなく、どの動作を飛ばしたかに自分で気づけるようになることです。
4つの動作のうち、いつも同じところで止まっているなら、直す場所はもう分かっています。そこだけをくり返せば十分です。
この記事は、diglabo を作っている親が書いています。教育の専門家ではありません。教え方の一般的な部分は、日本の教科書や学習指導要領で確かめたうえで書いています。
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