割合が分からない子への教え方 ― 「くもわ」の前に「1とみる」
5年生の「割合」は、小学算数で最大の難所と言われます。「く・も・わ(比べる量・もとにする量・割合)」の公式を覚えても、どれがどれか分からず、式が立てられない。
これは家庭の実感というだけの話ではありませんでした。文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編の総説には、全国学力・学習状況調査などの結果から、小学校では「基準量、比較量、割合の関係を正しく捉えること」に課題が見られた、と書かれています。国が全国規模で見ても、ここは難所なのです。
私はこれを知って、少し気が楽になりました。うちの子だけの問題ではありません。
つまずきの原因
原因1:「何倍」の拡張だと気づいていない
割合は新しい概念ではなく、2年生から使ってきた「何倍」の続きです。「12は4の3倍」が言えるなら、「2は4の0.5倍」も同じ構造です。倍が1より小さくなっただけ。
解説も、第4学年で「基準量を1とみたときに、比較量が、基準量に対する割合として2、3、4などの整数で表される場合」を先に扱い、第5学年で「割合が小数で表される場合」へ広げる、という順で組み立てています。整数の倍が先、小数の割合は後。この地続きの関係が切れたまま「割合」という新しい言葉と公式が入ってくるので、別物として暗記しようとして崩れます。
原因2:「もとにする量」が文章から拾えない
「定員40人のバスに32人乗っています。乗車率は?」。式より先に、「何を1(100%)とみるか」=定員40人、を特定する必要があります。つまずく子の多くは、かけ算・わり算の選択ではなくこの特定で迷っています。「〜の」「〜をもとにして」の直後がもとにする量、という言葉の手がかりはありますが、機械的に頼ると崩れる場面もあり、最後は場面の理解です。
原因3:割合・百分率・歩合の3つの表記が同時に来る
0.8=80%=8割。同じ量の3つの着せ替えですが、換算がもう1つの負荷になります。「割合とは何か」と「表記の換算」を同時に教えないことが大切です。
家庭での教え方
手順1:「1とみる」を日常語で使う
「定員を1とみると、乗ってる人は0.8だね」。「1とみる」という言い方を家庭の会話に入れます。テープ図を書いて、もとにする量のテープに「1」と書き込む。全体を1とみる見方こそが割合の本体で、公式はその記録法にすぎません。
手順2:整数倍→小数倍→割合の順に橋をかける
「8は4の何倍?」(2倍)→「2は4の何倍?」(0.5倍)→「0.5倍のことを、割合では50%とか5割って言うんだよ」。既に持っている「倍」から地続きで入ると、新しい暗記がほぼ要りません。5年生の単位量あたりの大きさや速さも同じ「1あたり」の考え方で、この単元群はセットです。
手順3:「くもわ」は式を立てた後の検算に使う
公式の図(くもわ)を否定する必要はありませんが、順序が重要です。場面から「1とみる量」を特定して式を立てる→くもわで確かめる。最初から公式に当てはめようとすると、もとにする量の特定という一番大事な工程が抜けます。
練習の進め方
- 割合の前提は小数のかけ算・わり算です。小数のかけ算・小数のわり算が不安なら先にそちらを固めます
- 割合の単元は、「何倍」の復習から百分率・歩合まで段階的に並べてあります。1日1枚、テープ図を書きながら進めてください
- 帯グラフと円グラフは割合の「読み取り」の応用です。新聞やニュースのグラフを一緒に読むのも立派な練習になります
よくある質問
Q. 「もとにする量×割合=比べる量」だけ覚えさせるのはだめですか?
A. この式自体は正しく、3公式の中でこれを基本にするのは良い方針です(残り2つはこの式の変形です)。ただし式を使う前の「どれがもとにする量か」の特定は式では解決しません。テープ図で「1」を書き込む練習とセットにしてください。
Q. 消費税や割引で教えるのは効果がありますか?
A. 非常に有効です。「3割引は、もとの値段を1とみて0.7倍」という買い物の場面は、もとにする量が明確で、結果の検算(安くなったか)も直感でできます。ただし「10%オフの後にさらに10%オフ」のような多段の割合は6年生以降の内容なので、深追いは不要です。
割合でつまずくのは、全国の調査でも課題として挙がっている場所です。ここで手こずっているのは、お子さんの理解力の問題ではありません。時間をかけていい単元です。
この記事は、diglabo を作っている親が書いています。教育の専門家ではありません。教え方の一般的な部分は、日本の教科書や学習指導要領で確かめたうえで書いています。
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